泡盛倶楽部 > 富永麻子の酒造所巡り > 北谷長老酒造
泡盛ルポライターの富永麻子(99年度泡盛の女王、愛称「古酒(クース)」)が酒造所を巡り、各酒造所の歴史、伝統、特色、こだわりを聞き出し、杜氏の人柄を引き出すインタビューコラム。
富永 麻子 (とみなが あさこ) = 文 / 撮影
沖縄本島で今、若者を中心に活気づく町、北谷町。米軍飛行場跡地から急成長を見せる注目のベイサイドエリアです。その賑やかなベイサイドエリアから少し離れ、小高い住宅街に位置する北谷長老酒造(旧・玉那覇酒造工場)。
小さな構えで思わず通り過ぎてしまうほどの酒造所ですが、創業150年の伝統を持つ由緒ある酒造所なのです。
四代目となる玉那覇謙一さんは、一度は、家業を継ぐことを拒み、公務員の職に就いたものの、仕事が終わった夕方から深夜にかけて酒屋や飲み屋まわりをして、新規開拓をしたそうです。
「小さい頃から手伝いをさせられこの仕事がどんなに地味で大変なものかを知りながらもやはり、泡盛が好きだった」と語る玉那覇さん。「品質重視」を掲げたその北谷長老酒造の酒造りは、何よりも愛情。
「人と接するのと同じように優しく、熱くないか寒くないかを気遣ってあげなければいけない」と、玉那覇さんは、語ってくれました。物心ついた頃から酒造りに接し、泡盛をつくる父親の姿を見ながら育った幼少時代、そして父親から教え込まれた手法の下、泡盛に対する深い愛情が伝わってきます。
ひと昔前までは、まさに知る人ぞ知る人幻の酒であった「北谷長老」は、北谷町を中心にしか販売されていませんでしたが、北谷町の人々の口伝えにその酒の旨さは広まり、全国的にその価値を高く評価される銘酒となりました。
グラスに注いだときのはなやかな香り、口に含むと口中に広がる上品な香り。二口目には、極上の喉越し、その風味の変化や香りを楽しめる深みのある旨い古酒なのです。
しかし、酒造所の規模が小さい為、大量生産が出来ず、無理に造っていい酒を提供できなくなってはいけないという信念から、今日でも出荷数を定め少しづついい酒を造り続けていくというこだわりを決して崩しません。
時代の流れとともに、様々に変化していく酒の味。しかし、ここには、昔からの泡盛通のためにも泡盛特有の個性を生かした、独特の風味を守り抜く姿勢が残されていました。
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