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泡盛ルポライターの富永麻子(99年度泡盛の女王、愛称「古酒(クース)」)が酒造所を巡り、各酒造所の歴史、伝統、特色、こだわりを聞き出し、杜氏の人柄を引き出すインタビューコラム。
富永 麻子 (とみなが あさこ) = 文 / 撮影
海に囲まれた沖縄で、海に面しない町、本島南部東風平町では、1月ごろ金色に輝く海が存在します。すすきによく似たさとうきびの花が辺り一面を覆う海です。その東風平町で創業以来泡盛造りを行う酒造所は、二代目神谷正彦さん、そしてその息子である杜氏の神谷雅樹さんの二人三脚によって酒造りが行われています。杜氏雅樹さんは、父の傍で泡盛造りを始めた当初、思いがけない父の急病により一人で酒造りをしなければならなくなりました。重病の父に代わっても酒を造らなければならないと強い使命で、東風平町の隣で酒造りを営む上原酒造所の門を叩き、作業過程の一貫を修行したのです。それまで麹を触ることなどなかった雅樹さんは、原料米を洗う洗米機の使い方、麹の仕込み、その作業過程の全てを必死なって学んだといいます。
蒸留過程においては、同じく本島南部にある宮里酒造所から微妙な風味調整までを仕込まれました。ひとりで造り出した当初は「神谷の酒の味は、変わった」という指摘に苦しみもがきながらも、息子に課せられた酒造りの使命を温かく厳しく指導してくれた酒づくりの仲間によって、今日では「甘く芳醇な香りとコクある酒」として静かな人気を集めるほどになりました。代表銘柄「南光」は、人の温かさを知ってこそ生まれた素朴で清らかな酒なのです。
病気回復後、息子の成長ぶりを見守る父、正彦さんは「これからは神谷の酒をもっと多くの方に飲んでもらえるようにがんばらなくては…」と語ってくれました。さとうきびが風にざわめく音と南から差し込む温かな光に包まれて、父を支える息子、息子を見守る父、親子で造り出す「南光」をじっくりと味わって下さい。
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