泡盛倶楽部 > 富永麻子の酒造所巡り > (有)山川酒造
泡盛ルポライターの富永麻子(99年度泡盛の女王、愛称「古酒(クース)」)が酒造所を巡り、各酒造所の歴史、伝統、特色、こだわりを聞き出し、杜氏の人柄を引き出すインタビューコラム。
富永 麻子 (とみなが あさこ) = 文 / 撮影
日本一早い桜まつりが開かれる本部町八重岳。400本以上の桜並木が南国沖縄の春を告げてくれます。
創業当時から八重岳の麓でこだわりの泡盛造りを行う山川酒造は、今年で55年目を迎えました。
「酒は水が命」という強い信念の下、酒造所から1km先の山からの湧き水を引き、豊富な天然水を用いて泡盛造りを行っています。甘くサラサラとした良質の水の評判は高く、近所の人々や得意先の業者などがポリタンクを持って貰いにくることもしばしばとか。
その良質な水は、原料米を洗う洗米水、麹とともに発酵させる仕込水、さらにアルコール調整を行う割水に至る全工程に用いられ天然水を贅沢なまでにふんだんに使っています。そして、出来上がった商品の80%が3年以上寝かせた古酒となるまで、市場でお目にかかることはできません。
「今は、売れなくていいんです、いい古酒になるまでは時間がかかりますから…」と語るのは、三代目山川社長。
現在一般に市販されている古酒の中で、一番古い30年古酒「かねやま」という銘柄を限定販売させるだけの「古酒のやまかわ」の余裕を感じさせてくれます。
現在、古酒を求める人への需要に答えるために、一升瓶が2万本も入るという古酒専用の貯蔵タンクが12本用意され、泡盛と共に静かな眠りにつくことを待ちわびています。
山川社長は、そのタンク一つ一つに、誕生日をつけて杜氏と二人で1年…1年…とこっそり誕生祝いをしていると笑って話してくれました。
寝かせれば寝かせるほど深い味わいをもつ泡盛独自の古酒文化を伝え、次の世代へ受け継いで行こうとする山川酒造の風味は、重厚な香りと主張とも感じるしっかりとした喉越し、長い時を得て熟成された甘い余韻に、10年、20年、100年後と時を刻み旨さを増していく夢を見させてくれます。
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